仕事があって幸せって思わないとダメね 第 2,912 号

以前、長年にわたって好評連載されていた
「生涯現役」。

人生百年時代を迎えたいま、90代で
仕事をされている方々の生き方や考え方は、
多くの人の指針ともなるはずです。

先月より連載を再開した「生涯現役」より、
11月号に掲載されている、
92歳の靴磨き職人・中村幸子さんへの
インタビューの一部をご紹介いたします。


    * *


都心の喧騒の中で、黙々と靴を磨き続けて50余年。
灼けるように暑い日も、凍えるくらいに寒い日も、
街頭に座り続ける中村幸子さんを突き動かすもの
は何か。92歳の職人の内に秘めた思い、
そして波瀾の足跡に耳を傾けました。


…………………………………………………………

 七月半ば、東京新橋の駅前広場で
 来客を待つ中村幸子さん。
 五百円を渡し靴磨きをお願いすると、
 くたびれた靴はみるみる光沢を取り戻し、
 ものの十五分で見事に息を吹き返した。


――こんなに綺麗になるとは思いませんでした。
  感激です。
大事なお仕事の前に磨いていかれるお客さんが多い
から、いつも一所懸命磨かせていただくんです。

お客さんの中には、私が磨いた後で商売が上手く
いったり、貧乏だったのに社長になったりして、
喜んでまた来てくださる方もいるんですよ。

「おばさんに磨いてもらうと、いいことがあった
よ」って(笑)。

――靴墨を布ではなく、手で直接塗りつけてくだ
  さるのですね。

布でやると、靴墨が布のほうに入っちゃうから、
直接手で塗り込んで靴に染み込ませるんです。
自分の手は汚れたら洗えばいいでしょ。

それよりお客さんの靴が綺麗になるほうがいい。
自分よりお客さんがよくなるのがいいの。
でも、そのおかげで指紋がなくなっちゃった。


――何年くらいやっていらっしゃるのですか。


四十で始めて、いま九十二だから、もう五十二年。
あっという間だね。

弟が「姉さん、何で靴磨きなんか続けてるんだ」
って言うから、「いいじゃないの、泥棒やってる
わけじゃないんだし」って言い返すんです(笑)。


――それにしても、思った以上に大変そうなお仕事
  です。

座ってやってるから、楽そうに見えるでしょ。
でも、決して楽じゃない。
腰は痛いし、脚は痛いしね。

昔は正座してやってたんですけど、
三年前に自転車に轢かれて
脚の骨を二本折ってからは、
正座ができなくなったんです。

仕事は大変だけど、辛いとは思いません。
仕事があって幸せって思わないとダメね。

だって普通、九十二にもなって
仕事なんてないでしょ(笑)。
どんな仕事でも、させてもらえるだけで
ありがたいと思わなきゃ。

家にいたって、どうせテレビを観るくらいしか
やることはないんだから。

人間、テレビばっかり観てると
あんましいいことないよね。
長生きしないと思う。

私はいまも土日以外はずっと働いてるから
長生きしてると思うんですよ。
うちの母も百三歳まで働いてたけど、
ホント、人間は働かなきゃダメ。


――いつも何時頃からお仕事を。

午前中はお客さんがほとんどいらっしゃらない
から、午後からだいたい夜の八時頃まで
やってます。

(……本誌に続く)



連載「生涯現役」には、毎号4ページにわたり、
90代で元気に働く方の貴重なお話が掲載されて
います。

※中村幸子さんのお写真はこちら
https://www.chichi.co.jp/info/chichi/pickup_series/2023/202311_nakamura/

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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