人間は鍛えられるからどんどんレベルアップしていく 第 2,923 号

 「誰も行かないところへ行き、誰もやらない

ことをやり、それを面白おかしく書く」が

モットー。アジア、アフリカなどの辺境

地をテーマとしたノンフィクション

や旅行記のほか、東京を舞台に

したエッセイや小説も多数発表している。

 僕は、アジア、アフリカ、南米の辺境地に

行って、未知の生物を探したり、ゲリラ

と一緒に暮らしたりしてきた。

 今でも頭で解決しようとしているときは、

僕も調子が悪い時で、なるべく現場に

行って、人が知らないようなこと

を見て、帰ってくるって方向にした。

 コンゴに幻獣ムベンベを探しに行こうとした

とき、フランス人に手伝ってもらって、フラ

ンス語で許可申請書のようなものを作って、

郵送で送った。3か月後、コンゴ政府

からOKの返事が来て驚いた。

 言葉が多少下手でも、結果が出ればいいんだ

から。ダメだって言われたら、どうしたら

いいんだって訊く。

 ある程度やりとりしていると向こうもいい

加減だし、面倒くさくなったりしてきて、

「いいよ」と言ったりもする。

 埒があかなくなったら、もう遠く離れて交渉

していても仕方ないから、現地にいっちゃう。

 それで、実際コンゴに行っちゃった。そうする

と話が早い。顔を合わせて交渉できるから。

一緒にメシを食ったり酒を飲んだり、デ

ィスコに行ったりしていると人間関係

ができてきて、「じゃあ協力しようか」となる。

 コンゴでは、一緒に来ていた動物学者とは英語

で話し、他のコンゴ人の役人とかはフランス語、

村の人たちとは現地の共通語リンガラ語で話

していたが、全部できるのは僕だけだった。

僕が通訳となり、自然とリーダーとなった。

 大変なんだけど、おもしろい。権力が集中して

いく。僕が代表になって話すようになって、

結局全部僕が仕切ることになる。言葉が

できるというのは、大きい。

 やっている人間にどんどん仕事がくる。社会の

システムとして。日本でもコンゴでも一緒。そ

いつは大変なんだけど、そういう人間は鍛え

られるからどんどんレベルアップしていく。

 興味というのは常に、2つ3つ持っている。そう

いうものを持っていると、ひとつがダメだと、こ

っちをやってみようか、みたいに考えやすくなる。

 僕は大学に7年いたんでいろいろやって、コンゴ

文学の翻訳もやった。怪獣探しのとき。急遽、大

学を卒業しなければいけなくなり、卒論を

書かなければならない。

 フランス文学科だったので、コンゴの小説の翻訳

が卒論にならないか閃いた。教授に相談して、教

授会にかけて、3時間揉めたらしい。全部翻訳

しているし、一生懸命なのは間違いないので、

それを副卒論として提出させて、その小説

の背景などを卒論として提出するように言われた。

 あとは簡単だった。僕は実際にコンゴに4回

行っているし、資料も散々調べたから

いくらでも書けた。

 歴史も地理も民族も政治状況も全部ひととおり

知っていた。それを卒論として書いて出したら、

フランス文学科の最高得点になっちゃった。

やっぱりできるんだなと。無理すれば通ると。

 無理だろうなと思うんだけど、とにかくやって

みると、なんとかなることが実に多くて面白い。

 期待してもしなくても、普通に生きても

ドロップアウトしてしまっても、いま楽

しくても辛くても、どっちにしても

明日は来る。

 高野 秀行 (著)『放っておいても

           明日は来る』

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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