落語家は登場人物の話の聞き上手でなければならない 第 3,002 号

 この不世出の落語家に入門したのは十八歳の

春だった。それから四十年近く惚れ抜いた

師匠から突然の破門宣告。「てめえな

んざクビだ」。全身が震えた。怒り

の理由が分らない。振り回され、

腹を立て、やがて気づいた。

大変だ。壊れてるんだ、師匠は――

 ドジでマヌケな話ほど、面白い。落語は、問題

を処理、解決するためのアイデア、工夫なども

提供してくれる。

 落語の誕生には、仏教の影響も大きい。

 仏教には「節談説教」というものがある。

浪花節の原型。

 仏の教えを物語のように語る。ここから笑い

の部分を抽出すると、落語になる。

 マジメな正しいだけの話は、聞いてくれない。

聴衆は退屈する。お坊さんは、ちゃんと

そこを心得ている。

 そこで諸国で拾ったエピソードを下ネタを

中心に披露する。するとドーンと笑いが

くる。1回笑うと、次の話を聞いてくれる。

 扇子をおいて、お辞儀する。この扇子は「結界」

を意味する。

 一流の人は、落語に人間を見ている。

 一流(ツウ)の人は、落語を聞いているようで、

じつは演者をふくめた「人間」を見ている。

 視線を決める稽古。これを覚えるのに、

気の遠くなるほどの時間と修業がいる。

 視線の位置、割振りで、すべてが決まるといっ

ても過言ではない。登場人物に、命を吹き込む

基本中の基本なり。

 会話の妙は、人付き合いの妙でもある。

 落語は、年をとると上手くなる。

 アシストの上手い人がいると会話がハズむ。

 落語家は、登場人物の話の聞き上手でなけ

ればならない。

 昼間ケンカしたら、夜のうちに飲ませろ。

 職人の世界では、ケンカ、モメ事がそのまま

仕事にもちこまれると命に影響が及ぶ。だか

ら親方は、早めに仲直りさせ、仲裁に入る。

 昔は、ケンカ、仲直り、手打ちには暗黙のルー

ルがあった。「よしこれで、もうおしめえ、

終わり。飲んで明日からまた励め」

 落としどころのツボも、みんなが共有して

いた。ケンカ、モメごとの仲裁には、酒が

ほどよい雰囲気を作ってくれる。

 見習い、付き人は、相手が何を求めているか、

察知能力が問われる。これを立川談志から

徹底的に教わった。

 立ち位置が肝心。付き人は、基本的には、目

立たないこと。つかず離れず。

 寄席の基本は、街角の銭湯にある。

 昔は、新聞記者の条件というのがあった。歌舞

音曲に通じていること。とくに、歌舞伎と落語

は必須。知っていないと、いい記事は書け

ないといわれた。

 ジャーナリズムとユーモアと粋は、

つながっている。

 無理してでも、一流と呼ばれる店で飲む。

立川 談四楼 (著)『一流の人は、なぜ

        落語を聞くのか』

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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