国際舞台でも力の空白は天下の大乱を招く 第 2,812 号

 CIAを擁しつつも、本土への同時多発テロを

防げなかったアメリカ。その後の熾烈な情

報戦と、ビンラディン暗殺作戦を遂行し

たオバマ大統領と高官の時々刻々。

らは何を誤ったのか?インテリジェ

ンスに精通する作家が混迷の世界

を生き抜くための指針を示す。

 アメリカ大統領は決まって朝8時半からインテ

リジェンス・ブリーフィングを受ける。政府

部内の17を数える情報機関から選り抜かれ

てくる特上のインテリジェンスが、国家

情報長官を通じて報告される。

 インテリジェンスは、一国のリーダーが命運を

賭けて下す決断の拠り所となる。相反する雑多

なインフォメーションの洪水から事態の本質

を窺わせる情報を選りすぐり、周到な分析

を加えて初めてインテリジェンスは決断

に資するものとなる。

 新興の軍事大国、中国がめきめきと力をつける

東アジアにあって、鍛え抜かれ、洗練された

インテリジェンス感覚を身につけた若い

世代の中から、この国のありようを変

える逸材が必ずや出てくると信じて

いる。誕生まもない明治国家から

ソ連国境に身を潜めた石光真清

が生まれ、独ソ戦前夜、欧州の地に

独自のユダヤ人情報網を築いた杉原千畝

のような逸材が必ず。

 外交を委ねられた者は、政府内では最高指導者

から全幅の信頼を取り付け、国の外では交渉

相手の信頼を繋ぎとめなければならない。

 「国家の舵取りを委ねられたリーダーたるもの、

インテリジェンス機関に情報を求める際、我が

胸のうちを決して悟られてはならない」永く

諜報界に語り継がれてきた箴言である。

 もし国家のリーダーが最終的な決断の中味を悟

られてしまえば、インテリジェンス機関は、政

治指導部の決断に迎合した情報を報告してく

る。客観的であるべきインテリジェンスに

大きな歪みが生じてしまうのである。

 日米の安全保障の盟約と同盟は、つまるところ

朝鮮半島の有事と台湾海峡の有事というふたつ

の戦争に備えたものだ。だが60年前、トルー

マン政権は、韓国と台湾をアメリカの守備

範囲とは見なさないというシグナルを、

ピョンヤン・北京・モスクワに送っ

てしまった。真空地帯には周囲

から大量の大気が流れ込んで

乱気流を生じさせてしまう。

国際舞台でも力の空白は天下の大乱を招く。

 ロンドンの伝統あるクラブで、老戦略家と

ランチを共にしていた折、彼がふと漏ら

した言葉をいまも鮮明に覚えている。

「眼前の懸案を相手国と手を携え

て解決する力を内に秘めていな

い同盟はやがて衰退していく」

 「大国が互いにしのぎを削る冷徹な世界に

あっては、力を持つ者こそが正義なので

ある。力を持たない者は自分の存在

そのものが悪だと決めつけられ

ないよう振る舞うのが精々の

ところなのだ」外交に携わる者

たちに長く語り継がれてきた箴言で

ある。身も蓋もないほど率直な物言い

なのだが、苛烈な国際政治の核心を見事

に衝いている。

手嶋 龍一 (著)『宰相のインテリジェンス。

           9・11から3・11へ』

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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