自分が譲り受けたものをいかに育んでいくのか 第 2,959 号

月刊『致知』で連載中の
「人生を照らす言葉」。

古今の優れた文学作品の中から
生きる上での知恵を学ぶ
『致知』の人気連載です。

長年、多くの人の悩みに寄り添ってきた
文学博士・鈴木秀子先生の言葉が
疲れた心を癒やし、
前に進む勇気を与えてくれます。

本日は最新号より、その一部をご紹介します。

……………………………………
子供たちに何を譲り渡すのか
……………………………………

私たち人間にとって
死は決して避けられるものではありません。

誰もがこの生を終えて、
次の世代にバトンタッチする時が
必ずやってきます。

死は忌み嫌うものでも恐れるものでもなく、
自然の摂理そのものであると
素直に受け入れられる人は、幸せだと思います。

ここでご紹介する詩人・
河井醉茗(一八七四~一九六五)の
『ゆずり葉』は、そのことを
私たちに教えてくれる作品です。


 ゆずり葉


子供たちよ。
これは譲り葉の木です。
この譲り葉は
新しい葉が出来ると
入れ代わってふるい葉が落ちてしまうのです。

こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちを譲って――。

子供たちよ。
お前たちは何を欲しがらないでも
凡てのものがお前たちに譲られるのです。
太陽の廻るかぎり
譲られるものは絶えません。

輝ける大都会も
そっくりお前たちが譲り受けるのです。
読みきれないほどの書物も
みんなお前たちの手に受け取るのです。
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれど――。

世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちに譲ってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを
一生懸命に造っています。

今、お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる
鳥のようにうたい、
花のように笑っている間に
気が付いてきます。

そしたら子供たちよ
もう一度、譲り葉の木の下に立って
譲り葉を見る時が来るでしょう。


親が幼い子供たちに語りかける、詩のひと言
ひと言が心に沁みるのではないでしょうか。
子供たちに素晴らしい宝を譲り渡し、
その宝を生かしながらよき人生を送り、
世の人々をも幸せにしてほしいとの
親の切なる思いが、そこには込められています。

そして、これは親から子へという
命のバトンタッチに限ったことではありません。

上司から部下へ、先輩から後輩へ、
先生から生徒へと様々な読み方ができます。

一方、生きている私たちもまた、
前の世代から大切なものを譲り渡されて、
このかけがえのない人生を
歩いていることを思うと、
受け取った宝をどのように活かすのかという
別の視点も生まれます。

それぞれの立場で、一生を通して何を大事にし、
何を譲っていくのか。

自分が譲り受けたものをいかに育んでいくのか。
この詩を何度も繰り返し音読する中で、
ご自身の心と向き合ってみてはいかがでしょうか。


*鈴木秀子先生による
「人生を照らす言葉」は、
 月刊『致知』で毎号、大好評連載中です。

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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