娘にも必ず言葉があると信じて闘い続けた母・
溝呂木眞理さんと、沈黙の世界で「生きる意味」
を求め続けた最重度の脳障碍を持つ娘・
溝呂木梨穂さん。
最新号ではそんな母娘の感動物語を
ご紹介しています。
────────[今日の注目の人]───
☆ 急転直下の一か月 ☆
溝呂木 眞理(チャレンジドハート代表)
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新生児黄疸(おうだん)の治療のため、大きな病院で
治療をしてもらったのは出産後3日目のことでした。
経過もよく、すぐに家に戻れたのですが、
それも束の間、ミルクを吐き出すなど
梨穂の体調が思わしくありません。
再び病院に駆け込んだところ、今度は血液中の
ビリルビン値が上昇し、脳細胞が侵される
核黄疸に罹(かか)っていると判明しました。
確たる原因も分からぬままに光線治療や
交換輸血といった応急処置が
施されること約20日。
「ようやく症状が落ち着いてきたので、来週
には退院できるでしょう」という医者の
言葉に、ようやく安堵の思いで眠りに
つけたものの、翌朝病院から
かかってきた電話に私は息を呑みました。
「梨穂ちゃんの呼吸が止まっているのを
発見した」と言うのです。
あまりに突然のことで、気が動転しそうな
自分を抑えつつ病院に辿り着くと、そこ
には何本かの管を通され、人工呼吸
器に繋がれた梨穂がいました。
「もう助からないかもしれません」医者から
そう告げられた私は、もう何も信じられない
という思いを抱きながら、ただただ梨穂を
見守ることしかできませんでした。
それから一週間、ようやく梨穂に自力
呼吸が戻りました。
しかし、この時既に梨穂は起き上がることも、
喋ることすらできない最重度の脳障碍児に
なっていたのです。
そしてちょうど出産から一か月が経った
この日から、私たち家族にとっての
本当の闘いが始まったのです……
※母娘の苦闘の日々、そして娘が胸の中に
秘めていた言葉を初めて知る瞬間──。
続きは本誌でどうぞ!
『致知』2016年11月号
特集「闘魂」P30
今回も最後までお読みくださり、ありがとう
ございました。感謝!