イギリスという国は古くてしかも新しい国である 第 2,225 号

 イギリスの急激な変貌をふまえつつ、先史時代

から現代に至るイギリス史の流れを伝統的史観

の枠組みをこえて再構成しようとする、的確

なイギリス理解に欠かせない最新の知見を

第一線の研究者がコンパクトにまとめた。

 まず、イギリスは何であったかをふりかえる。

開国・維新以来の日本人にとって、イギリス

は何よりも世界最大の海軍力を擁し、欧米

列強の先頭に進出してきた強大な軍事勢

力であった。そして地球の陸地の約4

分の1を植民地とする最強最大

の大英帝国であった。

 また資本主義の最先進国として「世界の工場」

と呼ばれる大工業国家であった。それを基礎

としていち早く高度な物質文明とハイカラ

な生活様式とを実現した存在であった。

 あるいは自由主義、民主主義の政治原理をもっ

とも早く達成して、模範的な議会運営に基づく

立憲君主制を実現した国であった。さらに、

地に足のついた経験論に裏打ちされた思

考を生活に具現化した「紳士の国」であった。

 明治以来、わが国の政府・体制側にとり、英国

の経済力・軍事力は最大の目標であった。同時

に、知識人、反体制側の多くの人々も、英国

の成就した近代化、政治形態、自由主義

は憧れの的であった。

 要するに、立場の如何を問わず、日本人に

とってのイギリスは到達すべき目標にほか

ならず、あらゆる先進的、近代的な

ものの代名詞であった。

 アングロ・サクソンがブリタニアに移住する

以前、この島にはローマ化したケルト系

ブリトン人が居住していた。

 次いで9~11世紀には、北欧からバイキングが

イングランドのおよそ2分の1の地を占拠、

長期にわたって言語、制度、慣習

など独自性を維持した。

 さらに11世紀から13世紀にはノルマン人、

フランス人出身の貴族階級が、王家のみ

ならず全支配階級を形成して、大陸

のラテン的言語・風習・制度をもちこんだ。

 これら諸民族は漸次アングロ・サクソンと融合

するにいたるが、これらのことから少なくとも

イングランド中世史は、その当初より、さま

ざまな民族の織り成す複合民族の歴史で

あったといわなければならない。

 イギリスという国は古くてしかも新しい国で

ある、とよくいわれる。その歴史を彩るさま

ざまな変革をみても、古い伝統的な制度

や考え方をできるだけ温存させながら、

時勢に応じてそこに巧みに新しい

精神や機能を付け加えてきた。

今井宏『概説イギリス史。伝統的

          理解をこえて 』

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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