みんな楽しいことをすれば体の調子が良くなる 第 2,119 号

笑いには「医力(いりょく)」がある――。医学

博士の高柳和江さんと、4月13日に逝去され

た筑波大学名誉教授の村上和雄先生は、そ

う提唱されていました。医学と遺伝子

工学、異なる見地から放たれる〝笑い〟の

知られざる効用に目を見開かされると共に、笑顔

でポジティブに生きる大切さを教えられます。

ユーモアを武器に、力強く朗らかに生き

たいものです。

───────────────────

〈村上〉
ストレス社会と言われて久しいですが、私はスト

レスにもポジティブ・ストレスとネガティブ・

ストレスがあると思いました。

問題にされているのはネガティブ・ストレスで、

それが加わると血圧や血糖値が上がったり

する。では、喜びとか感謝とか、笑い

とか、ポジティブなストレスを加え

たら下がるのではないかという

仮説を立てたんです。

こういうことを考え始めた時に、偶然

吉本興業の社長に出会うんですよ。

〈高柳〉
ご縁ですね。村上先生が吉本興業と組んで笑いが

体に与える影響を調べられていたのは、私は

本当に画期的なことだと思っていたんです。

〈村上〉
実はそれまでは、吉本なんて全然見たことが

なかった(笑)。だから、すべては偶然

の出会いから始まったんですよ。

〈高柳〉
あれはいつ頃から始めたのですか。

〈村上〉
2002年ですね。みんな、遺伝子と吉本なんて

ミスマッチだと思ったはずですが、そう

じゃなかったんですね。科学は知的

なエンターテインメントだから。

まず、笑いによって血糖値が下がると仮定して、

糖尿病のお医者さんのところに「こういう

実験をやりたいんです」と相談に行っ

たら、ほとんどのお医者さんから

「それはちょっと……」と断られました。

まあ、そんなアホなこと、まともな

医者はやりませんよ。

ただ、私たちはアホだったから(笑)、私の

教え子の関係で半ば無理やり協力して

もらって実験を開始しました。

やってみて分かったのは、笑いは科学にしにくい

ということです。よく「笑いのツボ」とかいい

ますが、東京の奥様と関西のおばちゃんでは、

笑うところが違うんですね(笑)。そう

いう地域差もあるし、年代差もある。

だからどうしたら科学になるかを考えて、2日に

分けて実験をすることにしました。対象は

糖尿病の初期の患者さん二十数人です。

1日目は軽い昼食後、大学の先生に

よる「糖尿病について」という

講義を聞いてもらったんです。

特に下手な話をお願いした

わけじゃないですよ(笑)。先生には

いつもどおりの講義をしてもらった。

すると、食前に測った血糖値よりも、平均で

123㍉も上がったんです。上がる人は

200以上も上がった。これは予想

以上でした。だから、血糖値

の高い人はつまらない話を

聞いちゃダメなんですよ(笑)。

2日目も同じ昼食を取ってもらった後、同じ時間

から漫才を聞いてもらいました。そうしたら

笑いによって平均77㍉下がっていたのです。

  〔中略〕

こういう結果を発表し始めると、最初は「そんな

アホな」と言っていたお医者さんたちもおもし

ろいと言い出して、その後、4万個の遺伝子

を調べることに成功しました。

それで分かったことは、やはり笑いによってON

になる遺伝子とOFFになる遺伝子があると

いうこと。私はそうに違いないと思って

いたし、みんな楽しいことをすれば

体の調子が良くなるということは

なんとなく感じていた。

しかし、我々は科学者ですからね、それをデータ

として裏づけができたことは大きかったです。

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 今回も最後までお読みくださり、

   ありがとうございました。感謝!

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