悲惨な境遇に置かれても己を捨て.人のために生きようとする 第 2,006 号

神奈川県の県立高校教師(当時)中村正和
さんは2011年の東日本大震災後の夏休み、
陸前高田市などで瓦礫を拾うボランティア
活動に参加。


───────────────────

私は、被災地で得た体験を、ぜひとも生徒たち
と共有したいと考え、震災にまつわる様々な
情報を集めて授業を行いました。

その際「九歳の男の子」の話を知って、私は
衝撃を受けたのです。

それは、ユーチューブで紹介されていた
ベトナムから日本へ帰化した警察官が語った
話でした。


震災直後のある夜、その警察官は食料を配る
手伝いのために避難所へ向かいました。
そこにはようやく届けられた食料を受け取る
ために、たくさんの被災者が列をつくって
いました。


その最後尾に目をやると、九歳ほどの男の子が
厳寒の中をTシャツ・短パンという軽装で
佇んでいます。気になって声を掛けた警察官は、
その子が語り出した悲惨な体験に言葉を失い
ました。


地震の後、お父さんが小学校に車で迎えに来て
くれた。けれどもその時、大きな津波が来て、
お父さんを車ごと呑み込んでいくのを三階の
ベランダから見た。海の近くの自宅にいた
母親や弟妹もたぶん助からないと思う……。


その九歳の男の子は、不安を打ち消そうと涙を
拭いながら、悔しさと寒さに震えながら、必死に
話してくれたのです。

不憫に思った警察官は、男の子に自分のコート
を掛けてやり、用意していた食料のパックを
渡しました。きっと喜んで食べてくれるだろう
と思ったのです。


ところが、その男の子はどうしたか?何と、
彼はその食料パックを配給用の箱に置きに行った
のです。そして、戻ってきた男の子は、警察官に
ポツリと言いました。

「僕よりお腹をすかせてる人がたくさんいるだろ
うから……」と。何ということだ! 


警察官は、もう涙で少年を見ることができません
でした。両親も弟妹も行方不明で、不安と悲しみ
に打ちひしがれ、空腹と寒さの中で絶望している
九歳の少年が、それでもその困難に耐え、自分の
ことよりも他人を思いやることができる。


このような悲惨な境遇に置かれた幼い少年でも、
己を捨て、人のために生きようとする。日本人は
何と偉大な民族なのだろう。その話は警察官の

口からベトナムに広まり、現地の新聞でも紹介

されました。

新聞は「人情と強固な意志を象徴する男の子の
話に、我々ベトナム人は涙を流さずにはいられ
なかった」と綴り、こう問い掛けています。


「我が国にはこんな子がいるだろうか」
この話を知ったベトナムの人々は、男の子と
日本に称賛を惜しまず、裕福とは言えない
人々からも多くの義捐金が寄せられました。


この「九歳の男の子」の話を、私が授業で生徒
たちに語り聞かせた時、彼らは口々に「私も
同じようにします」と答えてくれました。

生徒たちのその答えを聞いて、日本はまだ
大丈夫だと、国の行く末を憂う私の心に
希望の光が射したのを鮮明に覚えています。



『致知』2月号(最新号)特集「後世に

        継いでいきたい日本の心」より

★最新号の詳細・ご購読はこちら

 今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

スポンサードリンク

♥こちら噂の話題満載情報♥

ぜひ、いいね!を「ぽちっ」とお願いします

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください