九死に一生を得た熊谷さん日常の心掛けが異常時に役立つ 第 375号

 毎号、小さな6つの珠玉の物語をお届けする

連載「致知随想」。

 さて、最新号にはどんな物語があなたを

待っているのでしょうか──

───────『今日の注目の人1』──

★ 通り過ぎない嵐はない ★

熊谷 浩典(大鍋)

───────────────────

 来る、津波が来る。

 かつて経験したこともない大津波が

すぐにやって来る──。

 気仙沼の旅館「大鍋屋」の長男として

生まれ育ち、湾の形状から潮の流れまで

熟知する私は、5年前の3月11日、

突如襲い掛かってきた凄まじい地震の

直後にそう直感しました。

 オートバイで外出していた私は、すぐに

方向転換し、渋滞する車と道路の亀裂を

懸命にかわして旅館に戻りました。

 幸い建物は無事でしたが、窓ガラスが

粉々に散乱し、母がそれを一所懸命

掃き集めていました。

 「そんなことはいいから、

すぐ逃げて!」

 私はそう叫ぶと、海岸へ

向かって走りました。

 旅館の船が大波で転覆したり、他の船に

ぶつかって破損させてしまわないよう、

安全な場所に移さなければ

ならなかったからです。

 一年前のチリ沖地震以来、そろそろ

宮城県沖にも大きな地震が来ると

言われていたため、待避場所の

目星はつけてありました。

 避難警報が鳴り響き、人々が慌ただしく

山のほうへ移動する中、私は同じ目的で

湾にやって来た人たちと情報交換

しながらエンジンをかけ、いつでも船を

出せる準備をしました。

 程なく海水が恐ろしい勢いで沖に吸い

込まれ、内湾の海底がみるみる

露出し始めました。

 来たかっ!

 水平線に目をやった途端、

全身に粟が生じました。

※九死に一生を得た熊谷さん。

 その一部始終と、復興に

 かける思いとは──。

 『致知』2016年8月号  

      連載「致知随想」P87

http://www.chichi.co.jp/special/teiki1603/

今回も最後までお読みくださり、ありがとう

            ございました。 感謝!

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