真実は私が生きている間には分からないものだと最近強く思います 第 2,151 号

和歌山県南紀白浜の名称・三段壁は自殺の名所と
しても有名です。この地で22年間にわたり自殺
志願者と向き合ってきた人がいます。

白浜バプテストキリスト教会牧師の藤藪庸一
さんです。


命の救済に献身的に努められる藤藪さんですが、
それでも救えない命はあるといいます。
『致知』7月号(最新号)の記事の中から
藤藪さんの煩悶が伝わってくる部分を紹介します。

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(藤藪)

活動を続ける中で悲しみに堪えないのは、
救えなかった命があることです。

教会を継いで間もない頃でした。
三段壁から電話を掛けてきたA君は、
重い鬱病を患っていました。
お兄さんは隙を見て自殺しかねないほど鬱が酷く、
お父さんは兄から目を離せず、
外へ仕事にも行けない状態でした。
A君は自分が家を支えなければと思うものの、
仕事が長続きしない。
こんな自分が生きていたらお父さんの
迷惑だと思い詰めて三段壁に来たのです。

幸いA君は私の誘いに応じ、教会での共同生活
に入りました。無理に働く必要なんてないと
言いましたが、本人に働く意欲があるため
仕事はすんなり決まりました。

「このままずっと働いていけるんじゃないか?」、
内心そう思っていた矢先でした。
A君が突然「辞めたい」と言い出したのです。

驚いた私は、それまでと打って変わって、
「何で?」と厳しく詰め寄ってしまいました。
続けられれば自立できるかもしれないと思った
からです。結局、A君はそのまま仕事を辞め、
父のところに帰ると言って、教会を出て行きました。

けれども彼は家には帰りませんでした。長崎まで
移動した後、投身自殺をしてしまったのです。
海上で遺体が見つかったのは2か月後、持ち物
の中に私の名刺を見つけた警察から連絡を受け、
愕然としました。


取り返しのつかないことをしてしまった……。
呆然としながら彼の実家に連絡を取りました。
どう責任を取ればよいのか分からず、
活動を辞めようかとも思いました。

そんな私を見兼ねて、妻が言いました。「私たち
が手を尽くしても、何が起こるかは分からないよ。
その度に辞める、辞めないって悩むの?私は覚悟
が決まったよ」

ありがたいことに、A君のお父さんにも「辞め
ずにがんばってください」と励ましの言葉を
いただき、私もまた真に覚悟が定まったのです。

「あの時ああしておけば」と後悔することは
未だあります。自分のやり方が正しいかどう
かも自信はありません。

しかし、真実は私が生きている間には
分からないものだと最近強く思います。
最終的には神のみぞ知る世界です。
それを信じて、全力で働き続けているのです。

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  今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。感謝!

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