名優の仕事は、熱い。名優の言葉は、深い。
週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』
初の書籍化。昨年死去した夏八木勲、蟹
江敬三をはじめ、平幹二朗、松方弘樹、
千葉真一、中村敦夫、林与一、近藤
正臣、前田吟、平泉成、杉良太郎、
綿引勝彦、伊吹吾郎、田村亮、
風間杜夫、草刈正雄ら16人
の名優が登場。名作の
秘話、役作りの真髄を語り尽くす珠玉の役者論。
日本が誇る役者たちの「知られざる芸談」を
聞き出したいという筆者の熱い思いから生ま
れた本企画。特に夏八木勲さん、蟹江敬三
さんは生涯最後のロングインタビューと
なりました。人生を演技にかけた男
たちの仕事論は、どんな職業にも
通じる「熱さ」が籠もっていま
す。週刊ポスト連載時には
収録できなかった未公開エピソード満載です。
三國連太郎へのインタビューは、わずか6分
だった。しかし、この6分で天才といわれた
名優の芝居の原点を知り、痛感した。
その芸が磨かれていく裏側には、映画に負け
ないドラマが息づいていて、その言葉に込め
られた想いは、胸に突き刺さってくるもの
なのだ、と。
役者の世界とは、我々から遠い煌びやかなファ
ンタジーの世界では決してなく同じ地続きに
ある生々しく泥臭い世界。三國から、そう
教えられた気がした。
映画は、ギブアンドテイクの世界。いいスタッ
フといい監督、そして役者がかみ合った時に、
最高に面白くなる。
- 夏八木勲
肉体というのは、俳優の基本中の基本なり。
- 林与一
仕事のない時こそ、芸に差がつく。
どんな仕事が来ても、「はい、できます」
と答えられる下準備ができるのは、
仕事がないときだけ。
長くやっていく上で必要なのは、下地と引き
出しだ。休みがあっても家で、ぼうっとするな。
- 近藤正臣
長い下積み。「時代の妖怪」であればいい。
- 前田吟
切磋琢磨は、死ぬまで続く。
- 平泉成
スターになりたきゃ、ベンツに乗れ。
役者になりたきゃ、電車に乗れ。
つまり、役者になりたければ、
電車やバスで一緒に乗っている人を
よく観察しておけ、と。
- 田村亮
日本には古い名作がたくさんあるんだから、
それを観て、学べばいいと思う。
今は古い芝居をやったら、新しいものになる。
みんな知らないから。
古い作品から盗んで芝居をすると、
今の人には、新鮮に見える。
春日 太一 (著)『役者は一日にしてならず』
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今回も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。感謝!