ほとんどの国は相続税がゼロで所得税や法人税も安いことである 第 2,179 号

 現在の日本はどういう状況になっているのか。

ひとことで言えば、「中途半端な国」になっ

ているのである。人材の質も中途半端で、

人件費が高いのに付加価値力や特にサー

ビス業の生産性は低い。

 一方、今世界で繁栄している国はふたつの

タイプがある。ひとつは「ボリューム国家」

だ。経済規模が巨大で、人口・労働力の

ボリュームと低コストの人材費を強み

として工業国家モデルで急成長して

いる。その代表がBRICsのブラ

ジル、ロシア、インド、中国だ。

 もうひとつが「クオリティ国家」と呼んでいる

国々である。経済規模は小さく、人口が300万~

1000万人、一人当たりのGDPが400万円以上。

 世界の繁栄を取り込むのが非常にうまいという

共通点がある。人件費は高いが、それをカバー

する付加価値力と生産性の高い人材が揃っている。

 規模の拡大を目指すボリューム国家に対して

質の向上を目指す国家であり、スイス、シン

ガポール、フィンランド、スウェーデンが典型だ。

 クオリティ国家の大きさは、日本が道州制に

なった場合の道州と同じくらいだ。

 ならば、日本は早急に道州制を導入し、各道州が

スイスやシンガポールやフィンランドなどを参考

にしながら、思い思いの戦略を立てて自立した

クオリティ国家を目指せばよい。

 クオリティ国家の特徴は、世界に出て行くだけ

ではなく世界からヒト、モノ、カネや企業、

して情報を呼び込むために税金体系を自由に

決めている。ほとんどの国は相続税がゼロ

で所得税や法人税も安いことである。

 ところが日本は加工貿易立国の工業国家モデル

のままだから、いまだに出て行くこと

ばかりを考えている。

 道州が世界の中で自立していくためには、それ

ぞれが自分なりの「クオリティ国家像」を明確

に描いていなければならない。質の高い国家、

という考え方には、生活の質、社会の質、

教育の質、自然や街並みの質、政治

制度の質など、あらゆる断面で

世界の規範となるような質が

実現されなくてはならない。

 クオリティ国家にとって、とりわけ重要

なのは「ブランド戦略」である。

 かつて私は、時計会社タグホイヤーのホイヤー

名誉会長に、「もし、セイコーの再生を頼ま

れたら、どうするか?」と質問した。

 彼はこう言った。「私を雇えばよい。セイコー

は時計を作ろうとしている。だが、現在の時計

業界は時計を作る競争ではなく、いかにブラ

ンドを維持して高い付加価値をお客さんに

認めてもらうか、というブランド・マネー

ジメントの競争だ」「ブランドを維持

するためには、1人のプロデューサー

がいればよい。だから、私のように

高級ブランドのマーケティングを

熟知しているプロを1人雇って

全部任せればよい」

 複数の「ハブ拠点」で世界を呼び込むシステム

構築のうまさ。シンガポールは、国家の中に

さまざまな「ハブ拠点」を作ることに

よって、戦略的に世界から、ヒト、

モノ、カネ、情報を吸引している。

 実はアメリカは、ひとつの国家というよりも

クオリティ国家の集合体というべき存在。

 税率の低さは世界から企業と

人材とカネを呼び込む。

 大前研一『クオリティ国家という戦略』

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  今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。感謝!

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