それが僕の誰にも負けないと思える努力です 第 2,493 号

米大リーグ通算3089安打という偉業を成し
遂げたイチロー選手。人々に大きな夢と感動を
与え続けてきた、その〝超一流〟プロとしての
生き方に学ぶべきこととは?

若き日のイチロー選手の専属打撃投手として、
練習に打ち込む姿を間近で見てきた
という奥村幸治さんにお聞きしました。

─────────────────

(奥村)
これは私が打撃投手に区切りをつけ、
トレーナーになろうとメンタルトレーニングの
勉強をしていた時のことだった。
イチロー選手を掴まえて、
メンタルトレーニングについて
どのように考えているかと尋ねてみた。
すると彼はひと言、

「メンタルを鍛える、
つまり心を鍛えるっていうのは、
自分に必要なことを続ける努力
することじゃないんですか」

と答えた。
 
私はその答えに興味を覚え、
さらに質問を続けた。「これまでに、
これだけは絶対誰にも負けていないと
胸を張って言える努力って何?」と。

「高校の時に寮に入っていた3年間、
僕は寝る前の10分間素振りをしていました。
そしてそれを1年365日、
3年間欠かさず続けました。
それが僕の誰にも負けないと思える努力です」
 
この話を聞きながら、
私は高校時代に自分がどんな努力を
してきただろうかと自らに問い掛けた。

「きょうは家に帰ったら300回素振りをしよう」
とか「きょうはいつもより多く走ってこよう」
といった努力はしてきたが、
イチロー選手のようにこれだけは
絶対にやらなければという思いで続けてきた
ことは何もなかったことに気づかされた。
 
この話には後日談がある。
つい最近のことだが、
私の講演を聞いてくれていたイチロー選手の
高校時代の先輩に声を掛けられ、
その講演で触れた「10分間の素振り」
について話題が及んだ。
「やっぱり本当なんですか」と尋ねると、
その答えに私は驚いた。

「10分間の素振りね、
あれは最低10分だからね。やり続けると
1時間でも2時間でもやっていましたよ」。

イチロー選手は既に高校生の頃には
一度自分で決めたことを、
決してゼロにはしなかった。
そうやって心を鍛えてきた事実に
私は新たな衝撃を受けた思いだった。

NHKの特集番組でイチロー選手は
次のような趣旨のことを語っている。

「心が折れそうになった時、
自分が続けてきたことをやめてしまおうと
思ったこともあった。
しかし、もし仮にやめてしまったら
自分が自分ではなくなってしまう」
 
これは彼にとって、いまの自分があるのは、
やると決めたことを休むことなく
続けてきたからだという認識を
強く持っているからに他ならない。彼の
弛まぬ努力の仕方そのものが心の支えとなり、
いまを生きる力になっているのだと私は思う。

(本記事は『致知』2015年3月号
特集「成功の要諦」から一部抜粋・編集
したものです)


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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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