長期的には必ず楽観できる選択を! 短期的には慎重に悲観的に捉える 第 2,388 号

何かを計画する上で忘れてはいけないこと、
それは〈長期的〉〈短期的〉の2つの視点
持ちながら、計画を実現していくこと――。

時事問題の論客である京都大学名誉教授・
中西輝政氏は、日米戦争はこの視点を忘れた
悪しき典型であると述べられています。
国際情勢に限らず、あらゆる場面において
大切な原則を中西氏にご教示いただきました。

──────────────────

〈中西〉
私たちは目の前の危機に適切に対処すると同時に、
長期的視野を決して見失ってはいけないことが
理解できると思います。このことは国際関係に
限らず、あらゆる面において言えることです。
 
長期的な視点がなぜ大事なのか。
人間をして理性的な思考にさせるからです。
短期的なことばかりを考えていると、
人は得てして感情的、悲観的になったり、
時に尊大になって自分の力を過信してしまったり、
ついついバランスを欠く見方に陥ってしまいます。

つまりその時、人は我知らず感情の虜となったり、
目の前や周囲の人間関係や環境に目を奪われたり、
果ては傲慢にさえなりやすい。

いずれにせよ、そうしたところから、
人間の正しい判断は決して生まれてきません。

反対に、平素から長期的な視野を
失わない習慣を身につけてこそ、
心のバランスが取れ、いざという時に
正しい判断ができるようになるのです。
 
私たちに身近な企業経営でも社会活動でも、
短期的に「望ましい」と思われた最適解が、
長期的な視点で捉えると最悪の選択だったと
いうケースがあります。


目の前の問題を取り繕おうとする弥縫策や、
感情にまかせた判断、苦し紛れのアイデア
などがこの類です。特に短期的視野による
間違った判断は企業の信用を失い、最悪の場合、
倒産して従業員を路頭に迷わせてしまうこと
すらあります。

 
私は人間を論じる任ではありませんが、
これまでの人生経験や長く歴史を
学んできた立場から申し上げれば、
短期的にしか物事を見られない人には、
ある精神的傾向があります。

長期的に全く見通しが立たないような事態に
立ち至った時、解決策を考えることを忌避し、
目を塞いでしまうのです。
 
日米戦争はまさにその典型でした。
「短期的に決着をつけないと勝機はない」
と焦った日本の軍部は、真珠湾攻撃の後、
ミッドウェー海戦、ガダルカナルや
ソロモン諸島の戦いに次々と臨み、
逆に繰り返し大敗北を喫します。

自らの力を過信して無謀な戦いを進め、
ジリ貧どころかドカ貧となって、
最後には前例のない惨めな敗戦という
結果を招いてしまったではありませんか。

「長期的には必ず楽観できる選択をする。
 しかし、短期的には慎重に事を運ぶためあえて、
あえて、悲観的に捉える」。


これは何かを健全に計画する上での原理原則です

(※本記事は月刊『致知』2018年3月号
連載「時流を読む」より一部抜粋・編集
しております)

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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