どんな時も誰かの役に立つ生き方をしていきたい 第 159 号

 目も耳も聞えない世界とは、どんな

ものなのでしょうか。

「朝も夜も来ない」

「世界は一向に変化しない」

 そう表現するのは、盲ろう者の

荒 美有紀さんです。

 ある日、突然視力を失い盲ろう者に

なった荒さんが迫りくる恐怖と闘

われたご体験談にじっくりと

耳を傾けます。

────────『今日の注目の人』──

◆ 突然訪れた、その日 ◆

荒 美有紀(東京盲ろう者友の会理事)

───────────────────

──その間も、病気は少しずつ進行

 していったのですね。

 そうですね。4年生になると、

ひどく頭痛がして目が白く

霞むようになりました。

 私は視力は2・0と自信があった

だけに、いきなりのことに一瞬

「まさか」とは思いました。

 でも、最初は病気が進行したとは

思わないで、夜中に本を読みすぎ

てそのせいかな?くらいにしか

考えなかったんです。

 しかし、日に日に視界は白くなり、

頭痛も激しくなっていくんですね。

 やっとの思いで病院に駆け込んで、気

がついたら緊急手術になっていました。

 麻酔から醒めると、体中にいろいろ

な管がついていました。

 目は白く霞んで、意識ももうろうと

していて、自分が生きているのか、

死んでいるのかも分からない

状態でした。

──手術は成功したのですか。

 先生は「体力が回復すれば自然に見え

るようになるよ」とおっしゃいました。

 でも、実際には応急処置が精いっぱい

で、腫瘍をすべて取り除けないくらい

脳の症状が悪化していました。

 ある日、病室内にある個室のシャワー

に入った後、気分が悪くなってしば

らく横になったんです。

 少しして目を開けると、真っ暗でした。

 突然、何も見えなくなっていたんですね。

 本当に動転してしまって「ママ、ママ。

助けて、先生を呼んで」と大声で

母の名前を呼び続けました。

 ICUで点滴を受け、少しずつ目に

光が戻ってきましたが、そのうちに

シャッターが下りたように全く見

えなくなってしまったんです。

 自分に何が起きたのかも分からず、

「なんでなんでなんで……」を

ずっと連発していました。

──耳がほぼ聞こえなくなっているうえに

 失明という現実を受け止めなくては

 いけなくなった、と。

 その頃は母の手をずっと握りしめて、

一日中泣いてばかりでしたね。

 ちょっとでも手を離すと、周りの状況

とか、近くにいる人の様子とか何もか

も分からなくなってしまうんです。

 朝も夜も来ない。

 世界は一向に変化しない。

 まるで魂が抜けてしまったか

のような毎日でした。

※「どんな時も誰かの役に立つ

 生き方をしていきたい」

 そう語る荒さんは、いかにして絶望と

悲しみを乗り越えられたのでしょうか。

『致知』 2016年4月号 

        特集「夷険一節」P48 

 今回も最後までお読みくださり、

    ありがとうございました。 感謝!

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