飯島の繊細な配慮に舌を巻いていた 第1,564号

 官邸の特命交渉人「飯島勲」情報能力と危険

察知能力から、あらゆる裏交渉に通じる

最強のノウハウを学ぼう!

 飯島勲は、首相秘書官時代に定宿にしていた

赤坂プリンスホテルで、誰にもばれないよう

に情報を取り、いい情報も悪い情報も、す

べて小泉に伝えていた。飯島は、普通

の政治家以上に永田町や霞ヶ関の

動きを捕捉していたと自負している。

 飯島は、みずから培ってきた幅広い情報網

から、丹呉秘書官(財務省から出向)に流

れてきた情報の真偽を検証する。霞ヶ関

の情報網でいえば、飯島には、キャリ

ア組以外にもノンキャリア組の

ネットワークもあった。

 飯島のやることは、とにかくきめ細かい。

たとえば、財務省では、衛視にさえも気

を遣うほどの細心さだ。飯島には全国

各地に無数の知己が散在していた。

丹呉は、飯島の人的ネットワー

クの幅の広さ心底舌を巻いた。

 官邸の秘書官、参事官で構成される「チーム

小泉」のメンバーは、昼食を一緒にとること

が慣わしだった。丹呉のいう「首相との

昼食」である。メンバーは、小泉、

飯島、4人の秘書官、参事官5人

の総勢11名。NHKのお昼

のニュースを見ながら、

ざっくばらんな情報交換がはじまる。

 大塚和子官邸秘書主任は、食事を一緒に

することは、とても貴重な時間だった

のではないかと感じている。

 小泉は心が広い。たとえば、小泉が議員会館

事務所にいても、飯島が「すいません、今日

は人と会う約束がありますので先に帰りま

す」と言えば、「ああ、いいよ、お疲れ

さん」と気持ちよく送り出してくれる。

 「チーム小泉」の参事官が、小泉総理と接触

していて感心したことがある。彼らは、小泉

総理から人の悪口を聞いたことがない。

 また小泉総理と飯島秘書官の二人には共通

するところが多いという。二人の共通点は、

ブレないということだ。相談したことに

対して、途中で絶対に曲げない。

 飯島のモットーは、「裏方」を大事にする

ことだ。飯島は、厚生大臣秘書官時代、郵

政大臣秘書官時代だけでなく、首相秘書

官時代も、首相専用車の運転手、SP、

官邸や役所の警備員、清掃員たちを

大事にしてきた。官僚も、キャリ

アよりも、ノンキャリを大事にしてきた。

 日の当たらないところでコツコツ働く裏方の

人間に対しては、飯島は手厚かった。つねに、

ねぎらいの言葉をかけていた。さらに飯島

は、外遊などのときも外務省儀典外国

訪問室(儀訪)の事務補助員ら裏方

部隊にも向けられていた。彼は、

小泉総理と儀訪との集合写真

を撮る機会も設けていた。

 裏方は喜ぶ。そこまで手厚く扱われれば、

士気が上がらぬわけがない。参事官の

一人は、そんな飯島の繊細な配慮

に舌を巻いていた。

 大下英治『小泉純一郎の軍師・飯島勲』

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 今回も最後までお読みくださり、

       ありがとうございました。感謝!

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