自分も天に身を委ねて一本の鉛筆になればいい 第 2,452 号

在りし日のマザー・テレサが
過ごした最後の12年半、
日印を何度も行き来する中で、
親交を深めてこられた一般社団法人
ピュア・ハート理事長の五十嵐薫さん。

マザー帰天後も、その精神を継ぎたいと、
インドを中心に活動を続けた五十嵐さんに、
マザーの生き方とその偽らざる
素顔について語っていただきました。

─────────────────

(五十嵐)
……中でも私の人生の大きな転換となったのが、
インドに建設したレインボー・ホームでした。
ことの起こりは、マザー・テレサが
亡くなる4年ほど前に遡ります。

ある日本人の団体がマザー・テレサに会いに、
バングラデシュからマザー・ハウスにやって
来ました。残念ながら彼女は留守だったため、
代わりに私がマザー・テレサの施設を案内して
あげたのです。


聞けば、彼らはバングラデシュで
親のない子供たちのお世話をしているとのこと。
いろいろと話を聞くうちに、
それこそ私がライフ・ワークとして
やりたかったことではないかという
気持ちが湧き上がってきたのです。
その思いは毎朝の祈りを通して
日増しに高まっていきました。
そしてある日のこと、
思い切って打ち明けました。

「マザーは貧しい人の中で最も貧しい
人たちを助けているけれども、私はインドの
親のない子供たちにお母さんを与える
ような家をつくりたいと思っています」

マザー・テレサは目を閉じて数秒間
沈黙したのち、私にこう問いかけました。

「あなたに私と同じことができますか」

いつも微笑みを湛えている時とは違い、
彼女はとても厳しい表情で私を見据えました。
私は即座に「世界中、誰だってできません」
と答えました。


「そうでしょ。
私にだってあなたと同じことはできません。
人にはそれぞれ役割、ミッションがあります。
あなたは自分のやりたいと思うことをやりなさい。
しかし、祈りを忘れないこと。祈りなさい。
あなたの祈りが神に届いたら、
きっとその願いは叶うでしょう。
ただし、あなたがやるのではありません。
神がやられるのです」

それから私は毎日のように祈り続けました。
ところが祈ろうとすればするほど
雑念で心はザワつきます。
孤児の家をつくれば周囲から
褒められるのではないかなどという
不純な心が顔を出し、
祈りが祈りになりません。
それでも真剣に祈り続けると、
ある日、自分の心に響く声がありました

「Make pure heart and I build.」

純粋な心をつくりなさい、
そうすれば私がつくろう――。

突然、私は肩の力がふっと抜けていく気が
しました。


自分がつくろう、
つくろうと思っているうちは祈れない。
「つくる人は私ではない、見えない世界にいる」
と感じました。

私はマザー・テレサが言っていたように、
自分も天に身を委ねて一本の鉛筆になればいい。
与えられているものをすべて受け入れられたら、
もう迷わない。

そう意を決した瞬間、
内なる声が心にストーンと落ちたのでした。

そして日本に帰り、講演に招かれるたび、
出会う人に自分の夢を語っていきました。
そのうちに私の思いに賛同してくださる方
が次々と現れ、祈っていたら
いつの間にか孤児たちの家
「レインボー・ホーム」ができたのです。

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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