生き物など大自然は豊かな人生を生きる上でとても大切です 第 2,532 号

文学博士の鈴木秀子先生が9月号で取り上げら
れたのは佐藤春夫の『西班牙(スペイン)
犬の家』という作品です。


この小説には、「夢見心地になることの
好きな人々のための短篇」という副題がつけ
られているように、読み進めるうちに別世界
へと誘われる不思議な作品です。この小説
から私たちは何を感じ取ったらよいのか。
鈴木先生のお話の一部を紹介します。

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(鈴木)

冒頭に記されているのは、愛犬・フラテ
との心の交わりです。主人公の「私」がいかに
このフラテを可愛がっているかが
伝わってきます。

(以下、作品の引用)……いつでも散歩に
出る時には、きっとフラテを連れて出る。
奴は時々、思いもかけぬようなところへ自分を
つれてゆく。で近頃では私は散歩といえば、
自分でどこへ行こうなどと考えずに、
この犬の行く方へだまってついて行くことに
決めているようなわけなのである。
……(中略)……
その細い道はだらだらの坂道で、
時々ひどく曲りくねっている。
おれはその道に沿うて犬について、景色を
見るでもなく、考えるでもなく、
ただぼんやりと空想に耽って歩く。
時々、空を仰いで雲を見る。

パンデミックになって、
私の住む都心でも小さな犬を連れて
散歩する人が増えてきました。人間がなぜ
生き物との触れ合いを求めるかといえば、
人とは違って構える必要がないからです。
自分をさらけ出せる安心感、居心地のよさを
人は生き物に感じるのでしょう。

私たちは生きていく上で構えたり見栄を張ったり
して、なかなか自分の本心に気づくことが
ありません。しかし、弱さを含めて、
ありのままの自分を受け入れることは、
豊かな人生を生きる上でとても大切です。
生き物など大自然は、そのことに気づかせて
くれます。


「おれはその道に沿うて犬について、景色を
見るでもなく、考えるでもなく、ただぼんやり
と空想に耽って歩く。時々、空を仰いで
雲を見る」という件は、自然と触れ合い、
本当の自分に気づく大切さを教えてくれています。

私の知人ががんになり、軽井沢で静養しています。
彼女の日課は、朝起きると約一時間、
何も考えずに木を眺めることです。

目の前で繰り返される自然の情景を見て、
よい悪いと判断を下すことなく、
いま自分は何を味わっているか。
そのことだけに意識を向けていきます。

それはまるで心身を清める瞑想のようなもの
であり、彼女にとって安心安全な場で
自分自身に立ち返ることのできる
時間となっているのです。

忙しい人は、せめて十分間だけでもそのような
ことを習慣づけてみたらいかがでしょうか。
頭を空っぽにするのは難しいことですが、
頭に浮かんでくる思い一つひとつに
「ありがとうございます」と感謝し、
次の思いが湧いてくるまでは心を開放する。
それは自分自身になり切る訓練でもあります。

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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