子どもの脳はその苦しみに何とか適応しようとして自ら変形をしてしまう 第1,127号

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 衝撃の事実/子どもの脳が

         傷つけられている

    友田 明美(福井大学教授)

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 虐待をはじめとした親(養育者)から

の不適切な養育(マルトリートメント)

が、子どもの脳を傷つけることが

福井大学教授の友田明美さんに

よって明らかにされました。

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 そもそも虐待という概念が医学的な

観点から広まったのは、1960年

代のアメリカでした。

 当時発表された『被虐待児症候群』と

いう論文がきっかけで身体的な虐待

への関心が高まり、フェミニズム

運動の活発化に伴って性的虐待

にも注目が集まるようになったのです。

 1980年代に入ると、児童虐待をより生物

学的な観点から捉えるようになり、次第

に「マルトリートメント」という表現

が使われるようになりました。

 日本語では「不適切な養育」と訳され

ますが、これは子どものこころと身体

の健全な育成・発達を阻む養育

すべてを含んだ呼称です。

 私は、この「マルトリートメント」と

いう言葉が、日本でも広く認知される

ようになってほしいと考えています。

 なぜなら、実際には子どもに対して

不適切な行為をしていても、虐待

というと、「自分には当ては

まらない」と思ったり、

人格が否定されたと感じたりし、

親はこころを閉ざしてしまうからです。

 「虐待」と言うほどのものではないと

考えることで、行為そのものが見過

ごされてしまう可能性があるからです。

 そういった家庭を社会に繋ぐためには

「虐待」より広義の「マルトリート

メント」という概念が必要です。

 では、マルトリートメントは子どもに

どういう影響を及ぼすのでしょうか。

 私は小児神経科医として子どもの発達に

関する臨床研究を続けてきましたが、長

年のリサーチから見えてきたのは、大

人の不適切な関わりによって子ど

もの脳が変形するということでした。

 つまりマルトリートメントによって、

子どもの脳が物理的に傷ついて

しまうのです。

 ヒトの脳は生まれた時には300グラム

程度ですが、時間をかけて少し

ずつ成熟していきます。

 その発達過程において特に大事な時期が、

胎児期、乳幼児期、そして思春期です。

 これらの初期段階に、親や養育者から

適切なケアや愛情を受けることが、脳

の健全な発達に必要不可欠なのです。

 しかし、この大切な時期に極度のストレス

を感じると、子どものデリケートな脳は

その苦しみに何とか適応しようと

して、自ら変形をしてしまう。

 その結果、脳の機能にも影響が及んで

子どもの正常な発達が損なわれ、それ

がその人の生涯にわたって影響

を及ぼしていくのです。

      ─────

 脳が受けるダメージは、「視覚野」

「聴覚野」などにも及ぶそうです。

 『致知』2018年9月号【最新号】

         特集「内発力」P54

 今回も最後までお読みくださり、

             ありがとうございました。感謝!

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