地元とは運命共同体であり「共存共栄以外に道はない」 = 2-1 = 第 636 号

 危機において企業の生死を分かつものは、

長い間育まれた企業の文化である。

 危機時の緊急マニュアルの精緻さではない。

 震災から三年、気鋭のジャーナリストが取り組んだ

テーマは、同じ大震災に直撃されながら、東京電力

と東北電力はなぜ明暗を分けたのか、である。

 人類史上最悪の事故を起こした東京電力の福島第一

原子力発電所と同じ太平洋岸にあり、より震源に

近く、大きな揺れと高い津波に襲われながら、

3基そろって「冷温停止」を果たしたのが、

東北電力の女川原子力発電所(宮城県)である

 そればかりか、津波で集落が崩壊した地元民

数百人を敷地内に受け入れた。

 著者は東北電力の取材を進めた結果、戦後の電力

業界再編によって生まれた東北電力の初代会長・

白洲次郎と、初代社長・内ヶ崎贇五郎という

「創業者」2人の思想に辿りつく

 吉田茂の懐刀としてGHQやマッカーサーとの折衝に

当たった白洲次郎は、只見川の電源開発で抜群の

政治力を発揮する一方で、ヘリコプターや

無線機の導入に尽力した。

 そのDNAは、原発の安全対策に他の電力会社から

「コストがかかりすぎ」と揶揄されるほど手厚く

手当てをしていた「孤高さ」「独自の哲学」

していまなお企業文化に刻み込まれている

 内ヶ崎は宮城県黒川郡冨谷村(現富谷町)の出身で、

戦前の国策会社である日本発送電(日発)東北支店長、

東北配電副社長、社長を歴任した電力のプロ。

 内ヶ崎は合併会社である東北電力の社内の「和」

を重視した企業文化確立に尽力した。

 「地味で愚直」な安全対策にそのDNA

が残されている。

 この2人のほかにも、只見川開発を指揮した平井

弥之助は副社長を退任したあと、電力中央研究所

理事兼技術研究所長時代に、東北電力の社内

委員会メンバーとして女川原発の敷地を

海抜15メートルとする案を推進した。

 その正しさは2011年3月11日に津波に

耐えたことで実証された。

 東京電力の福島第一原子力発電所の事故以降、

電力会社への批判・疑念は厳しい。

 原発再稼働への反対の意見も多い。

では、電力会社はすべて悪なのだろうか。

「いや、違う」というのが著者の結論である。

 人の一生を生い立ちが大きく左右するのと同じように、

会社の運命も設立理念や沿革に大きな影響を

受けるものである。

 東北電力のDNAは、財閥解体に伴う

第二の創業期に確立された。

 それを会社にしっかり埋め込んだのは、この会社の

初代会長をつとめた白洲次郎と、東北出身の「和」

の電力マンであり、初代社長に就いた

内ヶ崎贇五郎の2人である。

 2人が中心になって育んだDNAは、東日本大震災

との困難な闘いを支える原動力になった。

 人類史上最悪の原子力惨事となった東京電力・福島

第一原子力発電所の事故以来、電力会社や原子力

発電所には、すっかり悪役のイメージ

が定着してしまった。

 この物語には、そうした通説を覆す事実が溢れている。

 電気というライフライン(命綱)の供給を通じて、

地元の暮らしと経済を支えるために身を粉にして

働いた人たちの苦難に満ちた真実の

ドラマが秘められているのだ。

 電力会社の中には東京電力と似たような体質の

会社があるかもしれないが、こと東北電力に

関しては、そうした見方は的外れと

言わざるを得ない。

 それは水道、ガス、通信、鉄道と並ぶライフ

ラインの電気を届けるという電力業者共通

使命をこの会社が帯びており、その

使命に社員が高い矜持を持っている

ということだけが理由ではない。

 白洲次郎は、内ヶ崎社長とともに、この会社の存立

基盤となった会津地方の只見川開発権を巡る東京

電力との闘争を勝ち抜いただけでなく、地元へ

の貢献を最優先するというDNAを会社に埋め込んだ

 そのDNAには、大事故など決して起こさない

という独特の技術者魂も含まれている

 町田徹『東北「復興」電力物語:電力と震災』

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 今回も最後までお読みくださり、ありがとう

              ございました。感謝!

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