何かを見落としたり.見誤ったりしていることだってある 第1,334号

来年のオリンピック・パラリンピックに向けて
新国立競技場の建設が急ピッチで進められています。

隈研吾さんのお話によると、驚くくらいに
スムーズに工事が進んでいるとか。
どうやらそこには、隈研吾さんならではの、
よい雰囲気をつくる試みがあるようです。

致知出版社の人間力メルマガ 2019.3.8
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 隈 研吾(建築家)
   ×
 栗山 英樹(北海道日本ハムファイターズ監督)
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【栗山】
共通しているという点では、建築家が
「このような建物にする」というイメージを描き、
それを現場のスタッフと共有していくところも野球と似ていますね。

【隈】
おっしゃる通りです。実はそのための僕なりの
テクニックがありましてね。例えば、新国立競技場の
屋根の部分は庇が重なったような形状になっていて、
その先端はとても薄くしています。

しかし、僕は「図面通り、このディテールでつくってほしい」
と現場のスタッフに一方的に押しつけるのではなく、
「僕は法隆寺の庇が好きで、ああいう感じてやりたいんだけど、
これで上手くいくかなぁ」と柔らかく投げ掛けるんです。

僕の背後にある気持ちを伝えながら理解を促していると、
「隈がやろうとしていることに協力してやろう」
という空気が自然と生まれます。

逆にその持っていき方を間違ってしまうと、
どうしてもギクシャクしてしまいますね。

【栗山】
なるほど。

【隈】
競技場の材質を選択する場合も同じなんです。
僕は住宅で使われている10・5センチ角くらいの
繊細なサイズの木を競技場に配したい、と考えました。
日本人が一番見慣れているのはこの寸法だし、
これを多く用いることによって競技場全体が
住宅のような温かい感じになるんじゃないか、と。

だけど、図面をただ渡して「これで施工してください」
と言うだけでは駄目で、そこは僕の人間性を
ある程度晒し出しながら思いを伝えていったんです。

さらに言えば、用いる言葉も平易でなくてはいけない。
難しい言葉ばかりを並べて、何が言いたいのか
さっぱり分からない建築家も多いんですけど、
僕はなるだけ易しい言葉を使うことを心掛けていて、
またそのほうが相手にもよく理解してもらえます。

【栗山】
しかし、時には現場スタッフとの間で、
意見の対立が起こったりすることもあるのではありませんか?

【隈】
その問題は必ず出てきます。だけど、これも先ほどから
申し上げているように、逆方向の意見を言いやすい雰囲気を
つくっておくことが大事だと思うんです。

「この人になら、何を言っても怒られないぞ」
という空気感ですね。というのも、僕自身が何かを見落としたり、
見誤ったりしていることだってあるわけでしょう? 

それを指摘してもらえる雰囲気をつくっておくことが、
最終的にはプロジェクトの成功に繋がるわけですから。

  『致知』2019年4月号【最新号】

         特集「運と徳」P12

 今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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