それが中国のこの30年間の国家戦略になっている 第1,547号

 私たちの目の前で日に日に巨大化していく

共産中国。その一方で世界中に渦巻く中国

経済欺瞞論、米中軍事対決説、共産党

一党独裁vs.民衆の蜂起予測、習近平

暗殺の噂etc.……。

 一体日本人は、この見たくない現代中国という

“現実”をどう受け止めるべきなのか?

 日本経済の停滞と中国経済の巨大化のはざま

で見過ごされてきた、誰も指摘してこなかっ

た最重要ファクターを徹底分析! !

 習近平政権がもっとも知られたく

ない“真実”!

 もはや中国を、「好き」「嫌い」の感情論

だけで語れる時代は終わった!巨大化する

「紅い帝国」を冷静に冷酷に分析した

末に到達した、本書で明かされる

驚くべき真実をいち早く理解

したものだけが、この厳

しく、狡賢く、そして

明日をも知れぬ国際

社会を勝ち抜くことができる!

 この本での大発見は、今の巨大に成長した中国

を作ったのは、特定の日本人経済学者たち

であった、という大きな事実だ。

 いま、大繁栄を遂げた中国にその設計図(ドラ

フト)とOSを伝授した日本人学者たちがいる。

 中国が貧しい共産主義国から脱出して急激に

豊かになってゆくためのアメリカ理論経済学

の真髄を超秀才の中国人留学生たちに教

えたのは、森嶋通夫である。

 それを名門スタンフォード大学で中国人

大秀才たちに長年、丁寧に授業して叩き

込んだのは、青木昌彦教授である。

 この2人が、「マルクス経済学である『資本論』

を、ケインズ経済学のマクロ計量モデルにその

まま置き換えることができるのだ」と計量

経済学の高等数学の手法で、中国人たち

に教え込んだ。これが1980年代から

の巨大な中国の成長の秘訣、原動力になった。

 大秀才の中国人留学生たちは、全米中の大学

に留学していた。彼らは電話で連絡を取り

合って、巨大な真実を知った。自分

たちが腹の底から渇望していた

大きな知識を手に入れた。

 アメリカに送り込まれた中国人

エリートたちのとまどい。

 1980年代、ヘンリー・キッシンジャーと

トウショウヘイが話し込んで、「次の

時代の中国を作る人材を育成して

くれ」ということで、アメリカ

にたくさんの学生を送り込んだ。

 このときの留学生であった劉鶴(66歳)や、

オウコネイ(62歳)は、アメリカで何を学

んだのか。少年時代から秀才で超エリー

トの、神童と呼ばれた連中だ。10歳

くらいからマルクス主義を勉強

して、カール・マルクスの

『資本論』を読んで丸暗記している人たちだ。

 彼らは社会主義、共産主義思想を叩き込ま

れた後、アメリカに渡って困り果てた。

アメリカの現代政治や理論経済学

が全く理解できなかった。

 彼らがすがりつくような気持ちでそのとき手に

取ったのが、英語で書かれていた森嶋通夫と

いう日本人の『マルクスの経済学』だった。

 この本は何と、マルクスの『資本論』を、その

まま丸々アメリカの理論経済学のテキスト

に置き換えた本だったのである。

 この本を、中国人留学生たちはむさぼり読んだ。

全米に散らばっている留学生仲間と連絡を取

り合って、このことを教えあった。そして、

彼らはアメリカとはどういう国か、ヨー

ロッパ近代500年とはなんだったの

かを、大きく理解したのである。

 ケインズが作った国家を経営する手法で

あるマクロ・モデルを中国人がこの

とき手に入れたのだ。

 『マルクスの経済学』を読むことで、中国人が

初めて欧米世界を理解できた。最近まで中国

人民銀行総裁だった周小川や、中国とア

メリカの金融政策および経済交渉で

重要な役割を果たした王岐山は、

この本を読んで、欧米世界を理解した。

 それが中国のこの30年間の

国家戦略になっている。

 森嶋理論をブループリント(青写真、設計図)

にすることで、中国人は初めて自分たち

の力で高度成長経済を実現できる

方策を手に入れたのだ。

 次の世界銀行は、カザフスタンの旧都

アルマトゥにできるだろう。

 世界の「スマホの首都」は、

「深セン」である。

 香港の北の「深セン」が、IT・通信企業の

世界最大の開発拠点になった。

 副島隆彦『今の巨大中国は日本が作った』

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 今回も最後までお読みくださり、

       ありがとうございました。感謝!

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