そもそも外交の世界に純粋な人道支援など存在しない 第 655 号

 『自壊する帝国』で第38回大宅ノンフィクション

賞受賞した佐藤優、衝撃のデビュー作。

 外務省、検察庁、永田町を震撼させ「国策捜査」

を日本中に知らしめた告白手記! 外務省元主任

分析官は、政治と外交の最前線で何を見たのか?

有能な外交官にして傑出した情報マン──。

 国を愛し、国のために尽くしたにもかかわらず、

すべてを奪われた男が、沈黙を破り、「鈴木

宗男事件」の真実と、「国策捜査」の

実態を明らかにする。

 「背任」と「偽計業務妨害」容疑で逮捕され、東京

拘置所での拘留生活は、なんと512日にも及んだ。

 2005年2月に下された第一審判決は懲役2年6カ月、

執行猶予4年。しかし、男の闘いはまだまだ続く──。

 今から思えば512日間の独房生活は、

読書と思索にとって最良の環境だった。

 学術書を中心に220冊を読み、

思索ノートは62冊になった。

 本書を書き進めるためにあたって私が参考に

したのは『太平記』だ。

 南北朝の混乱した状況を、特定の政治的立場から

人物や出来事を評価するのではなく、事実の細部

にこだわり、描くという方法に共感を覚えた。

 情報専門家としての飯野氏の実力。

 三井物産の飯野氏はロシア語の新聞を徹底的

に読み込んでいた。

 情報専門家の間では、「秘密情報の98%は、実は

公開情報の中に埋もれている」といわれている。

 それを掴む手がかりになるのは新聞を精読し、

切り抜き、整理することからはじまる。

 情報はデータベースに入力していてもあまり意味が

なく、記憶にきちんと定着させなくてはならない。

 この基本を怠っていくら情報を聞き込んだり、

地方調査を進めても、上滑りした情報を得る

ことしかできず、実務の役に立たない。

 現在は外交官や商社マンで本気で新聞を

読んでいる人が少ない。

 しかし、飯野氏は新聞の意味をよく

わかっている情報マンだ。

 私は飯野氏と同様の匂いを何人かの

三井物産関係者に感じた。

 そして私なりに調査したところ、三井物産の

対露情報の手法は明らかに満鉄調査部の伝統を

継承している、という印象を得たのだった。

 できるだけ貸しを作り、借りをつくらないと

いうのが、情報屋の職業文化だ。

 永田町用語で、「行儀が悪い」とは、「ゴリ押し

をする」「不正を強要する」という意味だ。

 情報屋の基礎体力は、まずは記憶力だ。

 私の場合、記憶は映像方式で、なにかきっかけになる

映像が出てくると、そこの登場人物が話し出す。

 書籍にしてもページがそのまま浮き出してくる。

 実は情報の世界では、第一印象をとても大切にする。

 人間には理屈で割り切れない世界があり、その残余

を捉える能力が情報屋にとっては重要だ。

 それが印象なのである。

 ロシア語のことわざで、「冗談には必ずある程度

の真理がある」というのがある。

 ある外務省幹部は言っていた。

 「日本人の実質識字率は、5パーセントだから

新聞は影響力を持たない。

 ワイドショーと週刊誌の中吊り広告で

物事は動いていく。

 残念ながらそういったところだね」

 情報、調査、分析の世界に長期従事すると

独特の性格の歪みがでてくる

 これが一種の文化になり、この分野のプロである

ということは、表面上の職業が外交官であろうが、

ジャーナリストであろうが、学者であろうが、

プロの間では匂いでわかる

 そして国際情報の世界では認知された者だちで、

フリーメイソンのような世界が形成されている。

 各国の情報調査・分析専門家の世界では、何か

大きな事件があれば、深夜でも連絡を

取り合う体制ができている。

 24時間、休暇で旅行中の場合も含め、このような

体制ができてはじめて、国際情報クラブの

メンバーとして認められたことになる。

 1980年代末から2000年までに旧ソ連諸国から、

イスラエルに移住した人々は「新移民」と

呼ばれ、その数は100万人を超えた。

 イスラエルの人口は600万人であるが、その内、

アラブ系が100万人なので、ユダヤ人の内

20パーセントがロシア系の人々である。

 ロシアのビジネスマン、政治家がモスクワでは

人目があるので、機微な話はイスラエルのテル

アビブに来て行うこともめずらしくない。

 そのため、情報専門家の間では、イスラエルは

ロシア情報を得るのに絶好の場なのである。

 しかし、これまで日本政府関係者で、イスラエル

のもつロシア情報に目をつけた人はいなかった。

 そもそも外交の世界に純粋な

人道支援など存在しない。

 どの国も人道支援の名の下で自国の

国益を推進しているのである。

 佐藤優

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  今回も最後までお読みくださり、ありがとう

               ございました。感謝!

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