いかなる人生にも決して絶望はない 第 1,973号

今日は世代を越えてロングセラーになっている

一念がもたらすものの大きさ。豊かさ。

それを示す人生。

心に残る一篇をご紹介します。

………………………………
一念、道を拓く
………………………………

その少女の足に突然の激痛が走ったのは
三歳の冬である。

病院での診断は突発性脱疽。

肉が焼け骨が腐る難病で、
切断しないと命が危ないという。

診断通りだった。

それから間もなく、
少女の左手が五本の指をつけたまま、
手首からボロっともげ落ちた。
悲嘆の底で両親は手術を決意する。

少女は両腕を肘の関節から、
両足を膝の関節から切り落とされた。

少女は達磨娘と言われるようになった。

少女七歳の時に父が死亡。
そして九歳になった頃、
それまで少女を舐めるように
可愛がっていた母が一変する。

猛烈な訓練を始めるのだ。

手足のない少女に着物を与え、

「ほどいてみよ」

「鋏【はさみ】の使い方を考えよ」

「針に糸を通してみよ」。

できないとご飯を食べさせてもらえない。
少女は必死だった。

小刀を口にくわえて鉛筆を削る。

口で字を書く。

歯と唇を動かし肘から先がない腕に

挟んだ針に糸を通す。

その糸を舌でクルッと回し玉結びにする。

文字通りの血が滲む努力。
それができるようになったのは
十二歳の終わり頃だった。

ある時、近所の幼友達に
人形の着物を縫ってやった。
その着物は唾でベトベトだった。

それでも幼友達は大喜びだったが、
その母親は「汚い」と川に放り捨てた。

それを聞いた少女は、
「いつかは濡れていない着物を縫ってみせる」
と奮い立った。

少女が濡れていない単衣一枚を
仕立て上げたのは、十五歳の時だった。

この一念が、その後の少女の人生を
拓く基になったのである。

その人の名は中村久子。

口で裁縫し字を書く芸を売りに
見世物興業界に入って人気を博し、
やがて著作
(『こころの手足』『私の越えて来た道』など)
が認められ、作家の地位を確立する。

後年、彼女はこう述べている。

「両手両足を切り落とされたこの体こそが、
人間としてどう生きるかを
教えてくれた最高最大の先生であった」

そしてこう断言する。

「人生に絶望なし。
いかなる人生にも決して絶望はない」

歴史に鮮やかな足跡を残した生き方を範に
私たちも一念、道をひらく人生を
めざしていきたい。

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  今回も最後までお読みくださり、

     ありがとうございました。感謝! 

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