いいものは覚えて身につけること!! 基本なのである 第 868 号

 プロ野球は特殊技能の集団といえば聞こえ

はいいが、経営はプロとはとても言えない。

 破綻の危機に立つ球団経営や使い捨て

られる監督たちなど問題が山積みの

プロ野球界に、名将広岡が渾身の

提言! 指導者の役割とは何かを示す。

 中村天風先生の精神的な愛弟子に

合気道の藤平光一氏がいた。

 深い付き合いをさせてもらった。

 ともかく自分を鍛えることにおいて、

凄まじいものを持っていた。

 栃木の鬼怒川の正月寒稽古

には何度も同行した。

 文字どおり身を切る冷たさの水に入っての

鍛錬には、何回も参加を躊躇したものだ。

 藤平氏は素知らぬ顔で稽古を進めていた。

 その理念は「理詰めで鍛錬して

『無』で戦う」だった。

 教えの中心を成してたのは、「臍下の

一点」を大切にせよということだった。

 臍下とは、心身の活力の源である「気」

の集まるところとされるヘソの下である。

 ここに神経を集中させることで心は

しんと染み渡り物事は正確に見える。

 動くときも同じ考えだ。

 中心が定まっていてこそ、素早い

正確な動作が可能なのだ。

–⋅–⋅–⋅– –⋅–⋅–⋅–

 北川貞二郎さんの文章特訓に悪戦苦闘。

 私は、読売巨人軍の選手を辞めて、

アメリカの野球を視察しに行った。

 帰国後、仕事が無かったので、大手町

のサンケイスポーツに向かった。

 伝があったわけではない。

 紹介されたわけでもない。

 「運動部長は誰ですか?」と尋ねて、北川

貞二郎・サンスポ運動部長に面会した。

 このとき交わした会話は、はっきり

と思い出すことができる。

 私はいきなり切り出した。

 「広岡ですけど、仕事ありませんか」

 「どうしたんだ、仕事って何だ。

お前どうしたんだ」

 口ぶりは、ぞんざいだった。

 どうしたと言われれば、説明するしかない。

 私は、アメリカへ行ったこと、スポニチ

とはレポートを約束していたが、でき

なくてクビになったことなどを話した。

 「分かった、お前、記事書けるのか」

書いたことは一度もない。

 「書けます」と即答できなかった。

 「だいたいスポーツ新聞では評論家に

記者がひとり付いていて話したことを

書くんじゃないですか」昔も今も、

このことに変わりはない。

 そのことが口を突いて出たのだ。

 「お前、何をなめたことを言って

いるんだ」と北川氏。

 もはや、ふたりは喧嘩腰だった。

 私は、この野郎、きついことを言いやがる、

と怒りの言葉を返して、帰ってもよかった。

 それでも、頭には収入の道を探さなけ

ればならない思いが詰まっていた。

 ほんの短い時間の沈黙があった。

 北川氏が口を開いた。

 「お前、字書けんのか」ときた。

 「字が書けるのか、書きゃいいんでしょう

が、書きますよ」

 こんなやり取りがあったが、ともかく私は

サンスポで仕事をすることになった。

 月給はなし。

 原稿一本につき5,000円である。

 北川部長にはしごかれた。

 書けば必ず書き直しである。

 北川氏の原稿直しは見事だった。

 私の原稿を見ながら赤ペンを入れていく。

 活字になって出来上がった文章は本当に

簡潔で私の主張もきちんと入っていた。

 いつも感激していた。

 「この人、すごいな」と思ったものだ。

 ある日、時間があって聞いてみた。

 「北川さん、私も一発で通用する原稿を

書きたいけど、どうすれはいい?」

 「広岡君、そうはいかん、しごかれて

しごかれて10年だ」そうだろうと思った。

 まさに的を射た指摘だった。

 だが、私にそんな時間はなかった。

 「僕は10年、ここにお世話になるつもり

はありません。1年で勝負したい。死に

物狂いでやるから教えてほしい」

 「そうか、それなら自分が読んで感激

した文章があったら、何回も読んで

暗記することだよ」

 これも、実に正しいアドバイスだった。

 ヒントをもらっただけでは分からない。

 いいものは覚えて身につけること、

基本なのである。

 さらに、もうひとつ大切なことが

あるといった。

 北川氏は、感激した文章は書き写して

みることだと話して聞かせた。

 このこと以来、私は新聞記事でも本を

読むときでも心を引かれた文章は、

書き出すことを習慣にした。

 広岡達朗『監督論:「人は育つ」ことを

           選手に教えられた』

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 今回も最後までお読みくださり、

   ありがとうございました。感謝!

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