「今日只今」というのは素晴らしい教えですね 第 2,238 号

東洋思想家の境野勝悟さん、
弊誌でも「禅語に学ぶ」を連載している
鎌倉円覚寺管長・横田南嶺さん。

共に禅の道を歩んでこられたお二人に、
辛い時、苦しい時の心の支えになる
禅の教えについて語り合っていただきました。

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〈横田〉 
白隠禅師のお師匠さんだった正受老人が、
晩年に村人相手にやさしい言葉で
生き方を説かれたのが、
有名な「一日暮らし」です。

人間の一生、どんな辛いことがあっても
きょう一日の辛抱だと思えば耐えられるし、
逆に嬉しいことがあっても
きょう一日と思えばそれに耽ることもない。
誰でも、きょう一日、
目の前のことであれば頑張れる。
きょう一日一所懸命やればいいと。

そうして最後に、

「一大事と申すは今日只今のこと」

と締め括っています。

〈境野〉 
心に染みる説法ですね。
実は、私は人生の目標って
立てたことがないんです。
ただ「縁」だけは大事にして、
いつもそれに精いっぱい報いてまいりました。
そうしたら、思いがけず
素晴らしい出会いに恵まれ、
東洋思想の本を30冊ほど
書かせていただくことができた。

ただひたすらご縁に従ってやっているうちに、
こういう自分になったんです。

いまの若い人の中にも、
目標が立たないと言って
悩んでいる人が多いんですね。
そういう青年たちには、
俺も目標を持たなかったよ。

だけど人の縁を大事にして、
「今日只今」を一所懸命やってれば
人生は開けていくんだよと
申し上げるんです。

〈横田〉
「今日只今」というのは
素晴らしい教えですね。

以前、一緒に修行した仲間が
心臓の病気で病院に運ばれて、
一命は取りとめたんですけれども、
これまでのことが思い出せなくなって
悩んでいたんです。

そこでこの「一大事とは今日只今の心なり」
という言葉を書いてあげたんです。
「今日只今」生きてるんだから、
よかったんじゃないか。
「今日只今」が一番大事だと。
幸い、徐々に思い出して
復帰しましたけれども、
あの時はつくづく、
これは大変な意味の深い
言葉だと思いました。

我われは過去のことに
こだわりがちですけれども、
それよりも「今日只今」
こうして呼吸をしていることの素晴らしさ。
それは自分の力ではなく、
大きな力の働きによって
生かされている。
これ以上の大事、
素晴らしいことはないと。

あの一件でこの禅語の理解が
一層深まったのです。

〈境野〉 
「前後裁断(ぜんごさいだん)」
という禅語もございますね。
明日と昨日を切って、
今日一日を生きよと。
高い目標達成のためプレッシャーを
受けている人も、「今日只今」
自分のやるべき仕事に集中すれば、
余計なストレスももらわないし、
結果も自ずとついてくると思います。

(本記事は2014年8月号特集
「一刹那正念場」より一部を
抜粋・編集したものです)

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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