「はい、ここで終わり」というものがないのがこの世界です 第 2,686 号

江戸時代から続く日本を代表する伝統芸能、
人形浄瑠璃文楽 人形遣い/人間国宝の三世
桐竹勘十郎さん。


60歳になってようやく花が咲く、といわれる
厳しい文楽修業を積み重ねてきた勘十郎さんに、
一道を極める極意を語っていただきました

─────────────────

(――勘十郎さんは、
14歳で文楽の世界に入られたと伺っています。
50年以上、文楽の道を一筋に歩み続けて
こられたわけですね。)

(桐竹) 
私自身は何十年もやってきたという感覚は
あまりないんです。気がつくといつの間にか50年
も経っていた、そういう認識ですね。

(――あっという間でしたか。)

(桐竹) 
あっという間です。よく周りの方からこれまで
大変だったなとおっしゃっていただきます。
しみじみ振り返れば、確かにいろんな出来事が
あったのでしょうけれども、
それほど大変な道のりだったかなぁと。

というのも、ひと言でいえば、
文楽の仕事が好きやったんです。
しんどいことがあっても、それを忘れさせて
くれるくらい仕事が好きで、楽しかった。

仕事が「好き」というのは、
何物にも勝る大事なことだと思っています。
ですから、好きになれる仕事に出合えて、
五十余年ずっと続けてくることができた。
それが私にとって一番の幸せですね。

(――好きという思いが
勘十郎さんの文楽人生を導いてきてくれた。)

(桐竹) 
それに文楽の世界では、何十年と修業、
下積みを積み重ねてきて、60歳くらいで
やっと花咲く時期を迎えるんですね。

それまで積み重ねてきたものが思うように
使えるようになるのが60歳頃で、そこからさら
なる高みを目指して少しずつ修正を加えていく。

ですから、一生修業というように、「はい、ここ
で終わり」というものがないのがこの世界です。

私の師である吉田簑助師匠は、2021年に88歳
で引退されましたけれども、「やりつくした」
と(笑)。本当に格好いいです。
私もそう言って引退したいところですが、
師匠の年齢まで20年ありますのでね。
本当にまだまだこれからなんです。やり残した
こと、やりたいことがいっぱいあります。

(――ああ、まだまだこれから。
これからが本当のスタートだと。)

(桐竹) 
ええ、いまが一番楽しいですね。
これは数年前のことなのですが、
ある時から力を入れずに人形が
ものすごく楽に遣えるようになったんです

そして、自分でびっくりするくらい人形が
動くんですよ。太夫(たゆう)さんの浄瑠璃
(語り)が耳に入った瞬間、勝手に人形が
動いている、というくらいに。

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  今回も最後までお読みくださり、

      ありがとうございました。感謝!

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